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コラムと特集住まいづくり house_making

建築家が建てる狭小中庭住宅の平面プランができるまで。

(3ページに渡って解説しています。)


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T邸の平面プラン~はじめに~


Tさんは事務所のホームページから中庭の家を見てのご依頼でした。

この家の建設地は東京都内で、子供さんの学校の都合で地域限定で土地を探し、その段階から御協力することになりました。旗竿敷地をはじめ何ヶ所か一緒に見たり、ラフプランを描いたりしましたがなかなか価格や環境の面で決まりませんでしたが、ようやく学校にも近く、気に入った土地が見つかり、希望より面積が狭く思い悩みましたが、設計の工夫でクリアしようということで、購入を決めスタートしました。

24.48坪という狭小地でありながら、建て主の長年の様々な希望や夢に対して、いかしてに叶えて上げることが出来るのか、設計者の住まいに対する想いが試されておりました。

家族構成

子どもがすくすくと育つ家づくりご主人+奥様+長男(5歳)+次男(2歳)
・ 敷地面積 81.08㎡ (24.48坪)   
・ 用途地域 第一種低層住居専用
・ 建蔽率  60%  
・ 容積率  100%
・ 高度地区 第一種高度地域


敷 地 図

敷地調査


敷地の環境を見ると南、西、北 側 が2階建ての建物に囲まれています。

従って1階の南、西、北側に面する部屋は陽の光や風通しが悪く、2階部分にしても隣家が迫っていますから、開口部の大きさやプライバシーも問題です。
また北側については、北側斜線によって、北側隣地境界から高さ5メートルから斜線がかかります。
上記の事を考えながら、ベストの建物配置を決定します。配置のバリエーションを提示しながら、T 邸建物配置 の決定案を提示します。

建物配置のバリエーション

敷地にどのように建物を配置するかはとても大切です。

一般的に平面プランや設備の方に気が集中していて、建物の配置については業者まかせにしたり、おろそかになりがちです。 配置に失敗すると、どんないい間取りや設備であっても、後々悔いることになりますので、注意が必要です。私の場合は、敷地に立って風の流れや陽の当たり方を読み取りながら、幾通りかの配置案を考えます。 一回でイメージが浮かばなければ再度敷地に足を運び、配置と建て主の暮らしのイメージを満たすかどうかを検討します。

A プラン  道路に対して、出来るだけ建物をセットバックし前面を空ける

この配置はかなり一般的でハウスメーカーや規格住宅の建物はほとんどこの配置です。展示場のような大きな敷地なら別ですが、このような敷地の広さの場合 (ほとんどの土地がこの土地のように30坪前後の敷地が多い ) 庭の面積がガレージを取るとさらに中途半端になります。

道路からの視線やプライバシーも心配です。 西側に面する部屋は (特に1階) 日当たり、風通しとも厳しいでしょう。



Bプラン

Bプラン 南側を空け、出来るだけ建物を北側にセットバックさせる

このタイプもハウスメーカーや規格住宅が多いのですが、会社の体質上、方位や土地の形状や広さに合わせて建物を造ることは、限界があるので仕方が無いのですが。
南側指向のこだわりを持つ方は多いのですが、南を空けても南側の建物が2階建てなので、午前中の陽の光は厳しいでしょう。

南、西の家からの視線も気になりますし、ガレージを取るとあまり庭が残りませんし、この敷地の場合、土地の有効利用としては問題があります。


Cプラン  東南を庭にするL型タイプ

Cプラン  東南を庭にするL型タイプ

A 、B 案に比べまとまった庭が取れ、庭として落ち着きもあり、各部屋に対しても明るさと風通しは良さそうです。

この敷地の間口ですとガレージの場所が問題になり、庭を優先すると建物の中に車を入れることになり、玄関アプローチを考えるとこの配置は厳しいでしょう。


Dプラン  道路に対して、出来るだけ建物をセットバックし前面を空ける

南、西、北側に建物を寄せ、間にプライバシー性の高い中庭を確保しています。 どれだけ中庭の幅を取れるかによって快適性も違いますが、かなり有効な配置だと思います。
どの部屋も中庭に面し、明るく求心性が高く、中庭に緊張感が生まれます。

外部に面する壁量が多いほど風の通りが良いと言えます。


Eプラン  建物の中央に庭がある、中庭 タイプ

Eプラン  建物の中央に庭がある、中庭 タイプ

中庭を家族のプライベートなスペースとして利用できます。
 私の設計ではよく使いますが、中庭を部屋が取り囲む形になりますので、設計の工夫によって室内空間に広がりが出てきます。 

この場合中庭のそれぞれの幅は私の場合、3M以上を目安にしています。


この段階で決定しておきたい事

  • ・ 陽の当たり方と風通しの考え方。(どんなに環境が悪くなっても永久的に確保出来る考え方)
  • ・ 空地、庭の取り方と、外からのプライバシーの考え方。
  •   この敷地の場合、南、西、北の隣家からの視線やプライバシーの守り方    
  • ・ ガレージの位置、車の出し入れと玄関への入り方。 (ガレージの長さ 5 M以上に注意)
  • ・ キッチン、リビングルーム、そして寝室が1階か2階かの決定。
  •   (こだわりもあるでしょうが、陽の当り方や生活動線、風通しなど総合的に判断)


T 邸 配置 決定案

上記の検討事項を検討し、 D 案 に決定し、設計をスタートすることにしました。
理由は,都市住宅の宿命として、いつ近隣の環境が悪くなるか分かりませんので、どんな状況になっても太陽の陽や風の流れそしてプライバシーの確保といった、住まいの環境が変わらない設計が求められると思っています。

そんな観点で考えると、この敷地の場合、A、B 案は対象外でした。 
C 案 は敷地の間口が、8・26Mですし、奥行きが9・81Mですので、ガレージを考えると厳しいと判断しました。
E 案 は魅力的でしたが建築面積の制限や、道路側に車の他自転車3台以上置く予定もあり、その分建物をセットバックする必要があり、採用しませんでした。
決定案D案ではガレージは南側、玄関アプローチは北側に位置しました。

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