中庭のある家 web catalogue| 株式会社 横山彰人建築設計事務所 設計コンセプト


HOME > 住まいのパンセ~いい家を建てるために。

住まいのパンセ~いい家を建てるために。

第3話 快適に暮らせる「家の配置」を考える

 同じ敷地でも、「家の配置」によって居心地の良さや開放感が大きく異なることをご存知でしょうか。通常、間取りづくりに時間をかける人はいても、「家の配置」に時間をかける人は少ないように思います。ガレージや門扉の位置を決めたら、残ったスペースに家を配置すればいい、と安易に考える人が大半でしょう。その結果、室内の面積を広くすればするほど、前面スペースが狭くなり、家から見えるのは他人の家だけ、庭のプライバシーも損なわれているケースをよく見かけます。

 家の前面を空け、家を後ろにセットバックする建て方は、ある歴史学者によると、日本人が農耕民族だったなごりとのこと。自然を相手に農耕を主としていた時代は、季節の移り変わりや天候を判断するには、敷地に対して家の前を空けることは理にかなった建て方だったに違いありません。しかし、現代の住宅事情では、必ずしも有効な方法とは言えません。向かいに3階建てでも建てられれば、窓を開けるどころか、視線を気にして昼でもカーテンを閉めきり、照明をつける暮らしを余儀なくされてしまうでしょう。実際、もっと違う建て方はなかったのかと後悔される方も少なくないのです。

 こうした問題の多くは、敷地に対する家の配置や設計の工夫不足が原因です。都市部の限られた敷地に家を建てるケースでも、積極的に敷地の狭さをカバーし、日当たりや風通しを確保し、近隣からのプライバシーを守ることはできます。その有効な手法のひとつがコートハウスです。コートハウスとは、建物をL字やコの字、ロの字に配置し、中央に中庭を設ける建築手法で、建物を外ではなく内側に開く発想です。コートハウスなら、敷地の有効活用、通風・採光やプライバシーの確保だけでなく、下記のようなメリットも享受できます。

豊かさ: 中庭は子供の遊び場だけでなく、アウトリビングとしてパーティやバイキング、家庭菜園などを楽しむことができ、暮らしに豊かさをもたらしてくれます。
広がり: 中庭を建物内に取り込むことで、対角線に目線が通り、実際の床面積以上の広がりが実感できます。
運 動: 中庭はゴルフの練習や高齢者のウォーキング、リハビリ等にも有効活用できます。
耐 震: 中庭のある家は、柱も壁も多く、一般的な住宅に較べて耐震性に優れています。
癒 し: ストレスや喧噪に満ち溢れた現代社会。中庭空間は安らぎの場として活用できます。

 家の中からわが家を見ることができる……そんなコートハウスでの暮らしを想像してみてください。中庭越しに家族の姿や気配が感じられる暮らしは、きっと心躍る楽しさに満ちていることでしょう。

説明図