「狭小住宅」をいかに豊かに設計するか| 株式会社 横山彰人建築設計事務所 設計コンセプト


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「狭小住宅」をいかに豊かに設計するか

 敷地面積が細分化され狭小地に建てる設計の依頼が増えています。狭小地の設計は建築法的制限も厳しい中、いかに居住空間に広がりをもたせ、限度いっぱい豊かな空間をつくることが前提です。また狭小地の建物だからといって家族の居心地やスキンシップ、生活動線をおろそかにしていい訳はありません。
 しかし現実的には、ハウスメーカーや注文建売業者は、セオリーが十分でなく、通常通りの建て方をしているケースが多く、その結果狭小地の特性を生かしきっていない例が多いようです。下記の狭小地50.70㎡(15.33坪)に建てられた建物は、当事務所で手掛けたものですが、今後都市部住宅においては増えていく狭小地の設計で、参考にしていただけたらと思います。

お客様の家族構成と与条件

家族構成:夫婦+子供1人(将来子供2人)
与条件 1 狭小地なので出来るかぎり床面積を確保したい。
    2 リビングダイニングルームは可能な限り広くしたい。
    3 リビングの中に中庭が欲しい。第二のリビングにして楽しみたい。
    4 子供室とリビングは階が分かれていても気配が分かるようにしたい。
    5 できるだけ収納面積を増やしたい。

建築概要

敷地面積:50.70㎡(15.33坪)
建ぺい率:60%(角地10%UP)
容積率:100%
用途地域:第一種低層住居専用地域、防火地域、第一種高度地区
面積 1階 /34.94㎡(10.50坪)
   中2階/12.75㎡(3.80坪)
   2階/34.94㎡(10.50坪) 
   3階/30.00㎡(9.00坪)
   合計/112.63㎡(34.00)坪  
建ぺい率:35.40% > 34.94%

工事費について ハウスメーカーとの相違

ハウスメーカーは基本仕様が決まっていて、規格部材が多いので、土地の条件によってコストが急上昇します。特に都市部の狭小地や変形地では対応が難しく、この建築の場合は事務所よりかなり高額な金額が出てきました。プラン的にもお客様の要望から大きく逸脱したものでした。

建物ボリューム図

図面

①グレーの部分が建物が建てられる範囲です。角地で敷地に対して方位が振れているため、東南の道路斜線のほか北側斜線が北側と西側からかかってきます。

配置図

図面

②建物と敷地境界との間は狭いところで200。狭小住宅ゆえ敷地いっぱいに建てています。斜線制限を守りながら目一杯建物空間をとるために屋根形状はかなり複雑になりました。

1階平面図

図面

中2階(ガレージ上部)平面図

図面

③ 狭小住宅のひとつのポイントは、いかに広がりを出すかにありますが、このプランでは玄関に入ると、坪庭と中庭が見え広がり感や、人の心をなごませます。ガレージと2階との間に収納階を設けています。面積は12㎡と広く、収納のほか子供の遊び場としても楽しい空間です。出し入れは2階のリビングルームから入ります。

2階平面図

図面

④リビングダイニング゙の空間は狭くても、できるだけ広がりや豊かさが実感できるよう工夫しています。中庭をリビングとダイニングの角にとることによって第二のリビングとして、ブランチやコーヒー、読書を楽しむことができ、暮らしの幅が広がります。また、3階との吹抜やトップライトによって太陽の光が時間とともに移動し、空間がドラマチックに変化します。

3階平面図

図面

⑤3階は屋根勾配に合わせて出来るかぎり、広い空間をとっていますが、包まれた感じで少しも狭さを感じません。2階のリビング、キッチンの上部は吹抜でプレールームで遊んでいる子供と会話もでき、気配がわかります。2階と3階が一体となれる空間です。

断面図

図面

⑥斜線規制をギリギリにクリアして敷地に対して最大限有効利用していることがわかります。私の好きな建築家吉村順三氏も断面の構造体(黒く塗っている部分が)ができるだけ少ない方が、資材の有効利用や、地球環境にもいいと言われています。中2階の収納を入れると一般の住宅よりはるかに多い収納面積がとられています。

上記建築は参考例ではありますが、角地・変形地など、どんな敷地であろうと、設計上の共通したコンセプト(概念・意図)は変わりません。設計のポイントとして、
●居心地がいい空間・広がりが感じられる空間の工夫
●一般住宅にはないプラスの付加価値
●家族の気配や絆が感じられる空間
●明確な生活動線 
など耐震・耐火・断熱などの確保はいうまでもありません。
※思うような平面プランが取れなかったり、平面プランで迷っている方はアドバイスを含め事務所の無料住宅相談へお問い合わせください。

写真 参考例

外構工事完成前の外観です。

写真 参考例

リビングから中庭とキッチンを見ています。中庭の床はリビングの床と高さと色を合わせています。

写真 参考例

キッチンから中庭とトップライトを見ています。
3階のプレールームの窓から、子どもと会話もでき、気配がわかる。

写真 参考例

視角がなかにわのルーフバルコニーと出窓からの景色が見えますので、
実際の面積より広く感じられます。画面右側の階段は、3階への階段です。

写真 参考例

ガレージ上の収納庫に入る上げぶた。子どもが喜んで遊ぶこと請け合いです。

写真 参考例

トップライトの光が同時にプレールームにも入ります。

写真 参考例

3階プレールーム。将来簡単なりフォームで子ども部屋になります。天井は斜線制限いっぱいの高さです。