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家族がうまくいく住まい01

住まいが家族をつくる

家族がうまくいく家家族のコミュニケーション不足には、さまざまな要因が考えられますが、その要因の一つとして、「家の構造」、つまり家族同士の接点(コミュニケーション)を家の構造が阻害していることがあるならば、建築家や住宅供給業者は、その責任の重さを痛感しなければならないはずです。

現代は、両親は仕事、子供は学業や習い事というように、家族の誰しもが忙しく、ただでさえ円滑なコミュニケーションを維持するのは難しくなっています。それに加えて、住居の構造が、家族のコミュニケーションを阻害するつくりになっているとしたら、家族の絆は解離こそすれ、深まるはずもありません。

家族に必要なのは、たとえちょっとであっても、「日常的な生のコミュニケーション」の積み重ねなのです。日常的なコミュニケーションで交わされるのは、楽しげな会話ばかりとは限りません。

家族として長年ともに暮らしていれば、伝えたい気持ちはあるのに喧嘩の後だから話しづらいという状況もあるでしょう。

では逆に、喧嘩相手の存在を意識せずに時間だけが過ぎていったらどうなるでしょう。喧嘩の熱くなった気持ちはやがて冷めますが、それと同時に相手の存在も薄れていくはずです。家族である以上、誰が喧嘩の原因をつくったにせよ、いずれはこじれた感情を氷解させなければなりません。そこで円滑なコミュニケーションに役立つのが、言葉というツール以外に、シチュエーションという舞台装置が必要になってくるのです。

住まいに限らず、空間は人間の行動を制限する一方、空間に見合った振る舞いをうながすという性質があり、このことについて、明治の文豪・幸田露伴は次のように表現しています。

「安芸の宮島の広々とした舞台を歩くとき、人は背筋を真直ぐに伸ばし、精神を高揚させ大らかに歩く。しかし三畳の茶屋では身をかがめて、ちまちまと歩く」(「家の内」より)すなわち、空間は人の精神や心理にも多大な影響を与え、住まいという日常的な空間は、行動や振る舞いを習慣化させるのもたやすく、家族を形作る枠組みとしても機能していることがわかります。

特に、家族での話し合いにおいては、家という舞台装置が重要な役割を担っているにもかかわらず、避難場所が多い現代住宅の間取りでは、家族の問題は先送りにされるばかりで、日常のちょっとした交流も滞りがちになってしまいます。
時間帯がズレた生活を送っている家庭では、誰がいつ帰宅したのかさえもわからなくなっているのではないでしょうか。

こう考えてくると、コミュニケーションを円滑なものにするには、家族で共有できる空間を住まいになるべく多く取り入れ、家族を隔てる遮蔽物をなくすだけでも十分であることがおわかりいただけるはずです。そこで必要になってくるのが、間取りの工夫です。喧嘩の後で気まずくなっていった夫婦や親子も、間取りにうながされて顔を合わせることが可能ならばどうでしょう。

「住まいが人をつくる」という概念は、生活動線にうながされて家族が自然に触れ合い、コミュニケーションを成立させてこそ大きな意味があるのです。

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