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2世帯住宅について01

親世代と子世帯の理想的な同居

中庭一つ屋根の下で暮らすという二世帯住宅は、より自立した家族同士でなければ難しく、その意味で二世帯住宅の選択は、言い換えれば「個の自立」をどう考えるかを考えることでもあるのです。

設計に入る前にじっくり検討することが必要だと思います。この十分なシミュレーションがなされず、未消化のまま設計が行われた場合、次のような三つの失敗を招くことになります。

一つめとして、二世帯住宅の同居のかたちは「完全分離型」「部分共用型」「完全同居型」に分けられますが、どのかたちを選ぶかという段階で失敗するケース。

二つめは、限られた敷地面積、さらに建ぺい率、容積率といった法的制限の中で、お互いの世帯にとって必要な部屋数・広さを確保できず、いずれかの家族が我慢を強いられ、次第にストレスが蓄積されて失敗するケース。

三つめは、部屋数が満たされていても、間取りの中にそれぞれの夫婦の居場所や逃げ場がなく、日常の小さな問題が積み重なつて、自分自身が追い詰められて失敗するケース。

設計の段階で十分な設計打ち合わせを行わず、安易に設計が行われているのであれば、設計者の側の問題でもあります。設計者としては、十分な時間をかけて二つの家族像を読み取って表現する提案力が必要で、その意味では一家族の住宅設計と比べて、二世帯住宅の設計ははるかに難しいと言えます。

「完全分離型」は親世帯と子世帯が、玄関から浴室、洗面所、キッチンといった設備スペースや間取りまで、すべて分離しているタイプ、つまり屋根は同じでも完全な二軒分の設備と部屋を備えている形式で、建設工事費が最も多くかかります。

人間関係については一番問題が少ないように見えますが、広い土地を所有しているというならともかく、一般的には、お互いの世帯の環境や条件が全く平等とはいかず、例えば、どちらの世帯を二階にするか、どちらが日当たりが良いかなど、感情的なしこりを残すことも少なくありません。

「部分共用型」は、二世帯がいくつかの機能を共用するタイプで、例えば玄関、リビング、浴室、洗面所は共用するが、洗濯機やトイレは別々といった形式です。

家族関係の密度や関係性によって異なりますが、共用部分が多ければ多いほど建設工事費は少なくてすみます。が、後で一番トラブルが発生しやすいタイプでもあるのです。

「完全同居型」 は、かつての大家族制のように、すべての生活設備を共用するタイプですが、親が定年前なのか定年後なのかによって、親世帯の共用スペースの領域が変わってくるので配慮が必要です。この完全同居型でも、生活時間に違いがあるようだと、お互いの寝室や玄関、浴室、キッチンの位置によって、遠慮や気兼ねが出ることが多いものです。間取りのレイアウトはもちろんのこと、子世帯に簡易的なミニキッチンやシャワを設置することによって、ストレスの因子を取り除いてあげる配慮が大切です。
二世帯住宅で夫婦が壊れる

2世帯の住まい二世帯が同居することのメリットは数えればたくさんあります。
子世帯にとっては新たに土地を購入しなくてもよいという経済的な要因や、税金や融資の面など、一方、親にとっても、老人福祉が充実せず、常に不安にさらされているこの国では、たとえ老後寝たきりになったとしても、連れ合いだけでなく子世帯が隣にいてくれれば心強いはずです。

しかし、二世帯住宅は良いことずくめではありません。スタートから価値観の違いや人間関係を中心とするさまざまな問題が発生し、悩んだ末の同居解消や、子世帯の夫婦が離婚や家庭内離婚に発展したりと、二世帯住宅にしたことによって大きな犠牲を払ってしまった家族も多いのです。

外から見ると二世帯住宅は幸せそのものですが、老人の自殺率は一人暮らしより同居の方が多いというデータからも、その根の深さがうかがえます。
二世帯住宅が結果として、失敗してしまうケースを見ると、次の二つの原因に集約されるのではないでしょうか。

まず一つは、現代の家族は核家族でさえさまざまな問題を抱えているのに、二つの家族が一つ屋根の下で暮らすことを、あまりにも安易にかつ楽観的に考えてしまうという、お互いの家族自身の問題があります。そしてもう一つは、住まいづくりにあたり、設計段階で二世帯が過ごすことによるさまざまな生活場面のシミュレーションや十分な打ち合わせをしなかったという、設計の問題があります。

二世帯住宅に踏み切る動機は家族によってさまざまですが、二世帯住宅の相談に見える方の大半は親からの希望というより、息子や娘の子世帯から同居を申し入れるケースが多いようです。

子どもたちに要求されるまま、親自身の老後の問題はあるにしても、あまりにも安易に同居に同意してしまいますが、同居によって失われるものもたくさんあるはずです。

要は、長い老後、夫婦二人でどんな生活を送りたいのか、さらにどちらかが欠けた場合なども踏まえ、将来の経済と心理状況を予想しながら、方針をしっかりと心の中に持って二世帯住宅を考えることが大切です。これは住まいのかたちや間取りを考える以前の生き方の問題ですが、このことをおろそかにしたまま安易に二世帯住宅にしたことで、思い描いていた生活ができなくなった夫婦もずいぶんいます。


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