中庭のある住まい
中庭の魅力と効用について
中庭の魅力について
私の事務所では、中庭(パティオ)の設計をよくしますが、どのお客様にもとても喜ばれています。中庭が外の場合も、樹木自体を住まいの中に、いわゆるインドアガーデンのようにする場合もあります。お客様にとっても「中庭のある家」に住んでみて、最初に考えていた中庭のイメージ以上に様々な魅力や思っていなかった発見があるからですが、実際に「中庭」にはどんな魅力や発見があるのでしょうか。
今の住まいで一番欠けていることは、住まいに部屋数だけが並び、空間の広がり感がないこと、家族の一体感を感じられる求心的なものがないこと。そんな解決のひとつの方法として、中庭を住まいに取り入れます。
以下中庭を実際の住まいに取り入れたことによって得られた良かったことを記します。
トップライトからの光が家全体に行き渡る明るい住まいに。1. 光があふれ、風が通り抜ける 2. 都市型の密集地でも充実した開放感とプライバシーがしっかりと確保。 3. ダニ、結露対策にも有効 4. 家の中に中庭をつくり、5m以上の植栽を植えることによって家に居ながら森林浴を楽しめて健康になり、家族に安らぎのシンボルツリーとして機能します。 5. 屋根のトップライトや上部から入る光は、1階の隅々まで入り、1階が日の射さない部屋でもトップライトの光は明るくします。
1階から入った風や部屋の匂いも気圧の差から自然に上昇し、トップライトや上部の窓から抜けていきます。一般的な部屋が並んだだけの家とくらべてどうでしょうか。1階の小窓と屋根のトップライトや上部の窓を開けておくだけで新鮮な空気が一日中流れています。
中庭の緑が暮らしに豊かさと潤いを生み出す。
緑は空間を引立たせます。中庭に6mほどの植栽を植えたお客様の声です。朝、目がさめて寝室のドアを開け、緑の匂いと葉のみずみずしい緑を見ると、今日も一日がんばろうというエネルギーがわいてくると言います。このお住まいは白が基調の空間で、ひときわ緑があざやかに映ります。夜にはまわりの照明を消し、間接照明とスポットライトの光で浮び上る緑はひときわ美しく、特に月の出ている日はトップライトからの月の光でとても幻想的な雰囲気です。
クリスマスには子どもたちが電飾のイルミネーションを植栽に飾りつけ、家族中で楽しむそうです。また、ご主人からは会社から帰り、ベンチに座って植栽を見上げると、疲れもストレスも消えると喜ばれています。緑が身近な手の届くところにある中庭は、敷地面積が狭くても (このお客様の土地面積は20坪です) 可能ですし、暮らしに安らぎと豊かさをもたらすこと出来ます。
「家族の一体感」と「安心」
中庭(パティオ)を取り囲むように部屋があり、中庭側には窓があります。部屋が離れていても中庭を通して気配が分り、声も届きます。子ども部屋なら今勉強をしているのか寝ているのか、リビングルームからも自然に分り安心です。これまでの部屋と部屋が廊下でつながっている家族とくらべて、間違いなく会話も増え、家族の一体感が生まれます。
ある奥様からは、中庭の植栽の成長や季節の変化は、よく家族の団らんの時の話題にもなりますとのお話でした。「中庭のある家」は空間に広がりと陰影を生みし、いつまでも魅力ある空間です。
現代の住まいに空間的に欠けているのは「広がり感」と「陰影」ではないでしょうか。部屋と部屋が廊下と壁で囲まれた家はいくら大きな家であっても広がり感はなく、閉塞感がただよっています。「中庭のある家」 は、目線は対角線に見通すことができ、実際の面積以上の広がりを感じることができます。そして、その間には吹抜があり、トップライトの光がふりそそぎ、空間に変化と緊張を与えます。それは住まいに奥深さと陰影がある豊かな住まいが生まれます。
かつての日本家屋や間口が狭く奥行きが長い京都の町屋には、必ず中庭があって、太陽の光や風を採り入れるばかりではなく、暮らしにうるおいをもたらしてきました。現代においても京町屋は、忘れ去られるどころか現在の住宅が見失ったものを町屋に見い出そうとさえしています。
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